弓神楽
かつては広島県東部の備後一円に行われていた「弓神楽」という神楽があります。県の無形民俗文化財に指定されているこの神楽は、今では上下町の周辺のみで保存されているそうです。
弓祈祷、神弓祭、内神楽とも呼ばれ、地域共同の荒神祭や私的な宅神祭の際に奉納されるそうですが、地元でも実際に鑑賞した事のある人は少なく、先日の「泊まれる町家 天領上下」お披露目会で初めてという方も多いようでした。
神座の前に揺輪を据えて弓を結びつけ、銅拍子・笛の合奏で弦を打ち鳴らしながら、祭文をとなえて土公神を祭り、五穀豊饒と家内安全を祈ります。
リズミカルなテンポで神話の世界をなぞった祭文を祭主が歌うように唱え、弾く弓の音色はどこか異国を感じさせます。今回は国造りから天野岩戸までのお話。最後に部屋の四角に飾られた御幣に矢を打ち終了です。
他の神楽に比べ舞などの動きがなく見た目は地味ですが、弓と祭文の音色が音楽を聴いているようで、とても印象深いです。現在も上下町の井永弓神楽保存会の皆さんが年に3回程、奉納されているそうなので機会がありましたら是非、体験されてみてください。
2020.3.26 / 文化・歴史